2026年ツアー&リリース 特設サイト

Okuda Tamio
全曲新録!
新曲2曲を含むバラエティーに富んだ
全8曲収録のEP

「あまりもの」 2026.01.07 Release

INTERVIEW

フルアルバムでもシングルでもない、その間の、ミニアルバムとかEPとか呼ばれるサイズの作品。としては、1999年の『FAILBOX』(6曲入り)、2005年の『comp』(7曲入り)に続く、3作目……いや、でも、ならば、2023年の『ドーロムービー“トツゲキ!オートモビレ”』(9 曲入り)も、カウントすべきかどうか迷うが、とにかくそのような新しい作品(8曲入り)が、奥田民生が2026年1月7日にリリースする『あまりもの』である。

タイアップの依頼があったので書いた、配信リリース済の曲をMTR&Yバンドで再録したのが2曲。「カンタビレ IN THE PARK」という企画で公開レコーディングして配信リリース済みの曲をリアレンジしたものが2曲。YouTubeの企画「トツゲキ!オートモビレ」で所さんから提供してもらった曲を仕上げたものが1曲。過去にアーティストに提供した曲のセフルカバーが1曲。書き下ろしの新曲が2曲、からなる全8曲。

という意味では、すべて新曲だった『FAILBOX』や『comp』とは異なるやもしれぬが、『FAILBOX』が「カヌー」「野ばら」「それはなにかとたずねたら」等の名曲だらけだったように、「ギブミークッキー」「快楽ギター」といった、現在もライブで重要な役割を担う曲が『comp』に入っているように、本作にも、とても重要な曲が集まっている。

今回、そういう作品であるがゆえに、プロモーション稼働をほぼ行わない (本人がやりたがらない)、ということなので、せめてこの公式サイトでは、ちゃんと真意を引き出しておくべく、1部=『あまりもの』とは何か、2部=全曲解説、というテーマで二部構成にして、インタビューを行った。ではどうぞ。
1部 
『あまりもの』とは何か、について
──新しいミニアルバム『あまりもの』が出ますが──。

うん。あの、ソロのアルバムを、出してなかったでしょ? 今回のこれはともかく、次にちゃんとしたアルバムができたら、9年ぶりぐらいになるらしいんだけど。でもべつに、そう言われてもねえ。配信とかで新曲は出してるし、いろいろやってるし─。


──特に2025年は、Ooochie Koochieという大きなプロジェクトもあったし。

ねえ? いろいろやってるから、常にソロが後回しになるわけよ。だからまあ、いいじゃないですか!


──何も責めていないんですが──。

いや、一応、最初に言っとこうと思って(笑)。


──むしろ、これだけいろいろやっておられる中で、よくソロの作品も出す気になったなあ、と思ったんですけども。

あ、これ? これは、出す気で出してないね、そういう意味では(笑)。なんか「出しといた方がいいんじゃないですか?」「言われてみれば、そうかな」っていう。『あまりもの』っていうタイトルのとおりで、ちょっとこう、宙ぶらりんのイメージなんですよね。「どうする? この曲」みたいなやつです。タイアップで依頼があったから書いたけど、アルバムに入ってないね、っていう曲とか。ソニーのビルでやったけど、そのままだね、とか。で、そこに「一応新曲も入れときますか?」みたいな。
だから、新しいアルバムをいつ出すのか、とかいう話も、(スタッフから)されながら。で、「まあまあまあ」みたいに、スルーしながら。でも、やってんのよ、ずっと。いわゆる新しいアルバムの、レコーディングというものを。


──あ、今も?

うん。ちょこちょこちょこちょこ、いろんな形でね。MTR&Yもあれば、ひとりのやつもあれば、アメリカに住むチャーリー・ドレイトンとやり取りしている曲もあれば。いろんなのをやってんですよ。昨日もMTR&Yでレコーディングしたし。
で、会社としては、「来年出しましょう」みたいな話をしてたわけよ。何年ぶりかのソロアルバムを。でも俺が「待て」と。今は、アルバムを、アルバムとして作ろうとしてないわけよ、一個のコンセプトで。なのに、「曲けっこうありますね、アルバムにしますか」って言われても、どうしていいかわかんないのね。
それはそれで作ってるけど、そういう感じだから、急いで出さなくてもいいと思ってんの。それで、いつ出るかもわかんないから、とりあえずこれ(『あまりもの』)でごまかしてるわけ(笑)。
だからまあ、会社はいろいろ言うけど。会社っていうか、うちのスタッフは。でも、求められてないわけよ、べつに。


──誰に?

世の中に(笑)。なんかね、「アルバムまだかよ」って言われないんだよ、べつに。


──まあ、それ以外でこれだけ動いていればね。

だからこっちも、アルバムを仕上げて出そうっていう気に、なかなかならないままでいる、っていうことですね。まあ、60歳ってそういうことじゃないですか? どうなんですかね? 「ベテランはそんなに出さないよ」っていうことでいいのか、ベテランだけどどんどん出すのがすごいのか。それはよくわからないですけど、自分でも。


──とりあえず、この『あまりもの』は、来たるべき9年ぶりのニューアルバムの前に、言わばつなぎ的な意味合いで、出しっぱなしになっていた曲などを再録して、新曲も2曲入れたものをリリースするのです、ということで、いいでしょうか?

はい。だから結局これ……ドラム、ほぼ俺なんだよね。3曲だけでしょ、湊(雅史)が叩いてるのは。


──「スピード」「太陽が見ている」「ハナウタ」。

うん。あとは弾き語りとか、YouTubeの企画とかだし。そういうものはね、あまりがちですよ。


2部へつづく


インタビュー・文:兵庫慎司
2部 
『あまりもの』全曲解説
1 うちょうてん
本作で初公開になった新曲で、シンプルで軽やかな楽曲。ギターの鳴りや80年代っぽい懐かしさのあるシンセとの音色など、OT楽曲の中ではやや異質で新鮮。


──新曲ですが。この作品のために書いた曲?

いや、もう作ってた。さっき言ったように、曲を作って、レコーディングして、みたいなことを、ずっとやってはいるから。その中の一個なんですけど。この曲はね、俺のモチベーションとしては、ストラトキャスターを手に入れて。それを弾きたかった、っていう曲です。


──ストラトキャスターを弾くとなるとこういう曲になる、というポイントを、ちょっと解説していただけますでしょうか。

まあ、ギターの音は違うじゃないですか? それぞれね。それで、僕はギブソンのギターをずっと使ってますけど。好きで使ってたら、ギブソンの人とも知り合いになって、自分のモデルを作ってくれるようになってるんですけど。その、太い音なんですね、ギブソンは。


──そうですね。簡単に言うと、ギブソンのピックアップはハムバッカー(コイルがふたつ並んでいるピックアップ)、フェンダーはシングルコイル、という大きな違いが。

だからフェンダーは細い、っていうとちょっとあれなんですけど、応用できる範囲が広い。非常に使いやすい、いろんな音が出るギターなんですよ。だから逆にストラトは、そんなに使わなかったんですけど。でも、ストラトを使ってる人で、いろんな音を出さないすごい人が、間違いなくいるじゃないですか。ジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)だの、リッチー・ブラックモアだの。そういう人が使ってるストラトの音には、ちょっと憧れがあってね。ギブソンではできない音なんだな、っていう。
でもそれがまたね、ストラトを持ったところで、俺が弾いても、全然ストラトっぽい音、出ないし。弾いてる人が悪いよな、と思ったりして、そういうのがちょっと楽しい、と思ってやってるところかな、今は。まあ自己満だけですよね。ギブソンで弾いても曲になるからね、べつに。


──これだけキャリアが長くても、ギター1本でモチベーションが変わったりするんですね。

やっぱりね、違うギターを持つと「おっ!」てなって、曲ができたりしますから。煮詰まってる時にね、ギター買っちゃった、買ったからには弾くでしょ? そしたらなんか、いつもと違う曲ができたよ、みたいなことのために、ギターを買う時もあるよね。


──この曲の歌詞のとっかかりは?

まあ、何かを見て、その人の目になりきる的な曲が、私、多いですけど。自分の気持ちじゃないところで書くのが。で、この曲は、たまたま、鵜飼いを観て。


──え、鵜飼い?

うん。ライブの移動日、大阪の次は中津川っていうスケジュールがあって、「移動日に長良川に寄れるやん」ってなって。前から観てみたかったのよ。鳥にヒモ付けてさ、魚を食おうとしてるところをオエッて吐き出させる漁って、すごくない? それがね、60歳にして、曲になりました(笑)。



2 スピード
2013年のKinki Kidsのアルバム『L album』に提供した、おそらく世間のロックファンが思うところの「これぞソロOTどまんなか」な楽曲。本作でセルフカバーするにあたって、歌詞の一部を書き換えている。


──この曲は、2013年にKinki Kidsに──。

この時はね、Kinki Kidsが20周年だったから。Kinki Kidsのそれまでの歌詞とか曲のタイトルを、まとめたみたいな歌詞なんですよ。それを俺が歌っても、なので、変えたんです。


──だから「ヒゲとボインもあった」「さすらいのライダー」「夕日のサンセット」「JET CDのカセット」。

そう。元の歌詞の「ジェットコースターのチケット」とか、俺が歌ってもね。「おまえ乗らんやないか」ってなるんで。


──曲調に関しては?

え? まあだから、人が俺に曲を依頼する時って、「イージュー★ライダー」とか「さすらい」とか、そういう、なんつうんすか、疾走感みたいな。そういう感じを求めるのかな、っていうところがあるんでね。そういう感じじゃないですかね。


──人に頼まれれば、こういう曲も、書かなくもないよ、という?

そうよ。それで……インタビューでね、こういうことを入れといてほしいのは、この曲の、イントロの最初のギターじゃなくて、次に「♪ジャカジャーン」って出てくるギターが、今年買ったアンプなのよ。フェンダーのチャンプっていうちっちゃいのがあんだけどさ。昔からあって、名機とされてるのの、新しいやつなわけよ。それがね、すげえよくて。新品のアンプって、最近どれもけっこういいんだけど、その中でも驚きの良さだったんで、言っておこうと思って。とてもいいですね。



3 僕的地
2021年7月13日と7月17日、銀座ソニーパークの『Sony Park展』で行った、『カンタビレIN THE PARK』で作った2曲のうちの1曲。同年9月15日に配信リリース済のこの曲を、新たに録りなおし仕上げたのがこれ。BPM80を切るテンポ感、王道OTワールドな歌詞、間奏のベースソロなど、聴きどころ多々ありな楽曲である。


これは、ソニービルで2曲やらしていただいて、配信して。もうあの建物はないですけど(※銀座ソニーパークが建て替えになるので行われたイベントの中のひとつが『カンタビレIN THE PARK』だった)。
ああいう現場だから、時間がないからさ。そんなに、事前に煮詰めてやってないから、現場で決めることが多いじゃないですか。だから雑なんですよ。ギターの選び方も、アンプのツマミ調整もね。その雑なのが、よくて。こういう曲調にしては激しいのよ、ギターの音とかが。それがね、いいなと思って。


──この歌詞、「イージュー★ライダー」に通じるところがあったりもしますよね。実は、かなり良い曲なのでは──。

「実は」って(笑)。でももう、だいぶ前に出てる曲だからさ、シレッと配信で。じゃあ、シレッと出すにしては、ちゃんといい曲過ぎたんで、こうしてもう一回出した、ってことでいいんじゃないですか?(笑)。



4 上限64馬力
レコーディングできるクルマ、トツゲキ号であちこちに行って曲を録る、YouTubeの企画『トツゲキ! オートモビレ』で、二度目に所ジョージの世田谷ベースを訪れた際、一緒に録った曲。作曲は所ジョージ、作詞はふたりの共作。東京スカパラダイスオーケストラのホーンセクションの4人=NARGO・北原雅彦・GAMO・谷中敦・が参加している。


トツゲキ号で所さんとこへ行ったら、「曲作ってあんだよ」ってなって、一緒に録ったのが二回あったんだよ。その二回目のやつがこれ。「また来ました」「また曲作ってある」って、録った曲なんだけど。それをすぐYouTubeで出そうとしたんだけど、ちょっと理由があって、なかなかアップできなかったわけ。タイミングを逃して、曲が忘れられそうになってる、と思って。それで蘇らせたんですよね。


──作詞が共作になっているのは、それぞれ自分が歌うところを書いたから?

そうそう。べつに、曲を一緒に作った感じはないですけど……所さんの世田谷ベースにあのクルマで行って、所さんはアコギと歌、俺はドラムで同時に録って、そのテイクをそのまま使ってあるんで。一緒に録った感はありますよ。そん時は俺は歌ってなかったから、あとで付け足したんですけど。
それで、ちょっと豪華にしたくなって。この、なんつうの? ぜいたくなスカパラの使い方(笑)。曲がちょっとスカっぽかったから、スカパラ入ったら絶対いいやん、って思って、お願いして。で、1曲だけ呼ぶの、贅沢すぎる気がしてね。「銀座のソニー」も入れてもらったという。


──スカパラの4人は、曲について何かおっしゃってました?

「所さんの曲だよ」「そうかそうか」ってやってて、やっぱりこう、「この曲いいよね」ってなってんのよ、やりながら。それは俺も含めて。「なんだろうね、この感じは」と。で、やっぱり、クレージーキャッツ入ってるんだな、という。そこも、俺らがこの曲をいいと思う理由であるのかな、と思ったんですけどね。
所さん、曲を毎日どんどん作ってるのよ。今回、「この曲を出していいですか?」ってメールをした時も、「いいよ」っていう返事と一緒に、新しい曲がババッて6曲ぐらい送られて来て、「どれでもご自由にどうぞ」って(笑)。



5 銀座のソニー
「僕的地」と同じく、2021年7月『Sony Park展』の『カンタビレIN THE PARK』でレコーディングし、9月15日配信リリースした2曲のうちの、もう1曲。
OT楽曲にしてはめずらしいほど真正面からの、ジェームズ・ブラウンを思わせるようなファンク・チューンに仕上がっている。先に配信されているバージョンにはホーンが入っていないので、聴き比べてみると楽しい。


──これも『カンタビレIN THE PARK』の曲を──。

これはさっき言ったみたいに、「上限64馬力」のついでに、スカパラに派手にしてもらおう、ってなって。銀座のソニーで録った時のテイクもいかしつつ、ベースとか録り直して。そう、俺、ベース買ったんだよ。


──(笑)あ、ベースも。

買ったから録り直したんじゃないか、って説もある。フェンダーのプレベ(プレシジョンベース)と、ジャズベ(ジャズベース)を買って、ジャズベで録り直した。俺はジャズベ、持ってなかったんだけど、ジャズベが非常に弾きやすいことがわかり。あと、スカとかファンクに、音が合ってるんじゃないかな、とも思って。
ボーカルも歌い直しました。やっぱりノリが変わったんで。もうちょっとタイトめに歌わないと、っていう。


──すごくどファンクな曲になりましたね。

そうだね、うん。あんまりやらないから、16ビートのこういう曲は。難しいですよね。まあ、ブラック・ミュージック、JB(ジェームス・ブラウン)とか、聴くのは好きですけど、自分ではそんなにやってなかった。ヘタです、だから(笑)。



6 太陽が見ている
日本テレビ系2022年1月期放送のドラマ『逃亡医F』の主題歌。主人公の外科医(成田凌)が、無実の罪で指名手配され、逃亡しながら真相を突き止めようとする──というこの物語のエンディングで毎週流れるのに、それはもうぴったりな曲調と歌詞の楽曲だった。本作収録にあたって、MTR&Yと共に再レコーディング。


──このドラマ、おもしろかったですよね。

うん、おもしろかった。これはだから、ドラマ用に曲を作って、その時は、キーボード以外は自分で録ったんだよ。それをちゃんとプロの演奏で録っとかないと、って。次の「ハナウタ」もそうかな。そのふたつだよね。依頼があって作る時って、てっとり早いから自分でやっちゃうんだけど。でも、ちゃんとプロと一緒に録ろうっていう、そういうことですかね。


──最近は、依頼があって作る時も、シンプルで軽快なロックンロールが多かった気がするんですけど。

そう?


──アニメ『ハクション大魔王』に書いた「サテスハクション」とか、『チコちゃんに叱られる!』に書いた「叱られたい!」とか。でも、この「太陽が見ている」は違いますよね。重厚というか。

まあ、あのドラマがあって書いたので。特に歌詞はね。


──これは楽器は買ってない?

ない。だから、これは普通だね。普段の自分の音ですよね、ギターとかも。そう、こっちがほんとですよ。1曲目とかは違うから。



7 ハナウタ
ドコモビジネスのCMソングとして書き下ろし、2023年8月9日に配信リリースした曲を、「太陽が見ている」と同じく、MTR&Yと共に再録。「夕陽ヶ丘のサンセット」等に通じるような、1970年代のアメリカン・ロック・テイストな曲調の、言わば「OTが得意なやつ」のひとつである。
なお、歌を録り直した結果、前のバージョンともっとも顕著に変わったのは、後半に出てくる「オワー」のところ。


──コマーシャルの曲の依頼があって──。

これは、ドコモだから、どこでもつながるっていうのがキーワードで、「どこでもつながるぜ」っていう歌詞を入れました。


──そこで「ハナウタ」というワードが出たのは?

なんだろうね? べつに「ハナウタ」じゃなくてもよかったかもしんないけどね。なんとなく、「ハナウタ」と……鼻歌ね、自分でもやらなくはないんだけど。あの、すっごい鼻歌歌う人、いるじゃない? お友達にもいますけど。口笛とか、鼻歌とか。「なんでそんなに歌うの?」って思うぐらい。
だから、大事なんだな、っていう。その、なんつうの、リズムとかメロディとかがありながら、なんかするっていうのって、いいんですよ、きっと。たとえば、コンビニで聴いた曲が、ずっと(頭に)残ってる時、あるじゃないですか。残しとけないわけよ。


──ああ、自分が曲を作る時は。

うん。仕事しなきゃいけない時は、それを「シッシッ」てやらなきゃいけないんで。それをやらなくていい時は、ずっと残っちゃうじゃない。で、それがずっと残りながら、他のことをしてるじゃん。その状況、鼻歌まじりでなんかやるのって、すごい、いいことだと思うんで。力抜ける、リラックス効果があるし。
だから俺もね、ミュージシャンだからさ、鼻歌まじりにやりたいわけよ。鼻歌まじりに違う曲を作る、みたいな。そこがね、俺の究極かなと思うんですよね(笑)。「よくできますね、そんなこと」みたいな。


──曲自体は、新たに書いたもの?

いや、これね、Aメロ自体は、昔からなんか思いついていて。ずっとiTunesに入ってたの。んで、ドコモの依頼が来て、これをそのまま使ってサビをつけたらいいのかな、って、作ったんですよね。コード進行がちょっとしゃれてるから。
最初のテイク、コマーシャルで流れてたやつは、コーラス(エフェクター)がかかったギターで録ってたんですけど、知り合いに「ぽくない」って言われたので、普通に戻しました。「ギターの音が違う!」ってなった、って言われて。そうなると、俺の曲かどうかが信用ならなくなってくるらしいよ。「ギターの音が違う、これ、違う人なのかな?」とか。



8 あまりもの
アコースティック・ギター1本で、つまりOTで言う「ひとり股旅」スタイルで歌われる、本作のタイトル・チューン。ここで初めて聴ける新曲。ソロ奥田民生の全キャリアの中においても、非常に重要な存在になっていくであろう、と思わせる曲である。


──これは新しく書いた曲? 発表してなかったけど、前から存在はしていた曲?

これはずっとあった。どれぐらい前からか、憶えてないぐらい……20年ぐらい前からあるんじゃないかな。でも、歌詞を付けるのがね、なんかもったいなくてね。もったいないっちゅうかね、歌詞がない状態でギターだけで歌っていて、それで俺、もう満足してたの。だけど、このまま歌詞を付けずに、発表せずに死んでいくのかな、俺は、と思って。だからなんとなく、どうしようかな、この曲、ってずっと思い続けてたよね。


──そういえば大昔のインタビューでも、まだ歌詞がない状態のものがいちばんいい、とおっしゃってましたよね。ソロになった頃かな。

言ってたっけ? なんかね、その……歌詞ないけど、でき上がってないくせに、でき上がった感じで。それがなんかこう、良かったんですよ。でも、それに歌詞を付けると、別のものになるじゃん。それもなあ、と思って、ほっといたのね。でも、このまま死んでいくのもあれかな、と思って。


──で、付けた歌詞が──。

「あまりもの」。だからタイミング的には、このミニアルバムを『あまりもの』っていうタイトルにしよう、ってなってからなんだよね。


──タイトル・チューンにしよう、と。

うん。そんで、なんかこう……近所にね、「すいません、これ余り物ですけど」って渡すものって、実はけっこう自信あったりするじゃないですか。渡す方は。へりくだって余り物って言っているが。本当に余り物の、腐りかけのものを渡すわけにはいかないじゃないですか。
そういう感じを、意味合いとして入れて……だって、「スピード」なんて、Kinki Kidsにあげてるのに「あまりもの」なんてひどいじゃないか、って話もあるし(笑)。それをこの曲で、「いやいや、『あまりもの』というのはですね」と、フォローをしている(笑)。そういうことよね。


──この曲、自分のことを歌っているように思えますよね。

まあ、「民よ」って言ってるからね。


──「それはなにかとたずねたら」や「CUSTOM」や、ユニコーンの「私はオジさんになった」に匹敵するような。

でもこれは、自分の、なんて言うのかな……希望というか。こうでありたい、的なところも入っていますよね。そうであるといいな、的なところはありますよ。


──とても重要な曲な気が。

うーん……まあそうよね、ちょっと重たいよね。まあだから、60歳になってですね、相変わらず音楽をやってますが、スタンスとしてですね、これからはもう、へりくだっていく、という心の表れでもあるんです。「すいません、こんなんできてしまって、ちょっと余ったんで」みたいなところが。
所さんてわりとそうじゃない?なんでもくれるやん、「ちょっとそのへん、余ってっから持ってけよ」「マジで?」みたいな。そういうことだよね。だから、ベテランになった証ですよ!(笑)。




おまけ:ツアー『MTRYツアー2026“春 Ooh La La”』の話

──この『あまりもの』のリリースの3日後から、17本の全国ツアーが始まりますが。この8曲は、演奏されるんでしょうか。

するのとしないのがあると思いますね。


──しないのもある?

まあでも、全部やってもいいよ。ただ、所さんの曲はやらないだろう。所さんが来てくれたらやるよ。


──民生さんの場合、「MTR&Yで録った曲しかやりません」みたいなことがあっても不思議じゃないと思ったので、訊いたんですけども。

ああ、でもそれは、なくはないんだよね。やっぱ、そっちの曲をやりたいからさ、ライブでは。「銀座のソニー」とかもさ、スカパラがいないのにやってもなあ、ってなるじゃん? だから、スカパラと所さんが来てくれる日があったら、全曲やるよね。オファーしてみましょうかね……でも所さん、人前で演奏するのはやらないんだから、今は。


──「スカパラがいないのにやってもなあ」というのは、つまり、ライブでやることをまったく考えずにレコーディングした、ということですよね。

それはそうだよ。そういう意味でも『あまりもの』なのよ。あとまあ、「あまりもの」はやらないよね、たぶん。


──えっ! やりましょうよ、タイトル曲ですよ?

えー? ……じゃあ流す。これをSEで流して、それで出て行くわ(笑)。

MOVIE

  • Comingsoon
Ooochie Koochie(with 吉川晃司)としての
リリースやツアーの熱が冷めやらぬ中、
全曲新録!新曲2曲を含む全8曲を収録した
EP「あまりもの」のリリースが決定!

EPタイトル曲となる「あまりもの」は、
アコースティックギターの
軽やかなメロディラインにもかかわらず、
その歌詞と歌も相まってじわっと心に響く1曲。
その他、タイアップ曲としてシングルリリースした
「太陽が見ている」「ハナウタ」の他、
YouTubeチャンネル発の所ジョージとの共作曲や、
KinKi Kidsへ提供した楽曲のセルフカバーなど
盛りだくさん。

また、おなじみのMTR&Yのメンバーや
東京スカパラダイスオーケストラ
ホーンセクション:NARGO(Trumpet)、
北原雅彦(Trombone)、
GAMO(Tenor Sax)、
谷中敦(Baritone Sax)が
演奏で参加した楽曲も収録。
「あまりもの」
  • CD [紙ジャケット+ブックレット]
    ¥3,000(税込)
    RCMR-0012(TGCS-13772)
  • 先行配信
    12月24日(水) 0時:01.うちょうてん
    12月31日(水) 0時:02.スピード

TRACK LIST

NOVELTY

RCMR 公式通販サイト
「ROCKET-EXPRESS」 限定商品・特典

■ROCKET-EXPRESS限定 バンドルセット
CD「あまりもの」 + 奥田民生2026年卓上カレンダー
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① ROCKET-EXPRESS 特典:ポストカード(148mm×100mm)
②ファンクラブ“エーギョー★ライダー”会員限定 特典:アルミステッカー(50mm×50mm)
*ファンクラブ会員は ①と②のダブル特典となります。
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